就職活動を始めるにあたり、精神障害のことを伝えて働くか、伝えずに一般枠で働くか迷っていませんか。一般枠と障害者枠では、応募の仕方や配慮の相談のしやすさ、働き方の幅などに違いがあります。
本記事では、一般枠と障害者枠の違いや、それぞれのメリット・注意点を整理し、現在の体調を基準にした働き方の選び方を解説します。また、企業で働くことにまだ不安がある方向けに、就労継続支援A型やB型などの福祉的就労についても紹介します。
自分に合う働き方を考えるきっかけとして、無理なく読み進めてみてください。
精神障害のある方が選べる主な働き方
精神障害のある方が就職活動をする際には、一般枠、障害者枠、福祉的就労など、複数の選択肢があります。どれが正解というものではなく、体調の安定度や希望する働き方、必要な配慮の内容によって合う方法は異なります。
障害を伝えて働く障害者枠
障害者枠とは、障害があることを企業に伝えたうえで応募し、必要な配慮を相談しながら働く方法です。障害者雇用として応募する場合は、原則として障害者手帳が必要になることが一般的です。
企業側は、応募者の障害特性や必要な配慮を確認したうえで採用を検討します。そのため、通院日の調整、勤務時間の相談、業務量の調整などについて話し合いやすい点が特徴です。
ただし、受けられる配慮の内容は、本人の状態や職場環境、業務内容によって異なります。希望した内容がすべて実現するとは限らないため、面接や入社前後に具体的な相談を行うことが大切です。
一般枠で働く方法
一般枠とは、障害の有無にかかわらず、一般の求人に応募して働く方法です。精神障害があることを企業に伝えずに働く場合は、クローズ就労と呼ばれることがあります。一方で、一般枠に応募しながら、必要に応じて障害のことを伝えて相談するケースもあります。
一般枠は、求人の職種や業界の選択肢が広く、自分の経験やスキルを活かしやすい点が特徴です。ただし、障害のことを伝えていない場合、会社は本人の事情を把握できないため、通院や体調の波に関する配慮を相談しにくくなる可能性があります。
体調が比較的安定しており、周囲と近い条件で働ける見通しがある方にとっては、選択肢の一つになります。一方で、不調時の対応に不安がある場合は、慎重に判断することが大切です。
精神障害のある方が一般枠で働くメリット
一般枠で働くことには、求人の選択肢やキャリア形成の面でメリットがあります。ここでは、主な利点を確認していきます。
求人の選択肢が広い
一般枠は、障害者枠に比べて求人数や職種の幅が広い傾向があります。事務、営業、販売、技術職、企画職など、さまざまな分野から仕事を探しやすい点が特徴です。
これまでの経験や資格、得意分野を活かしたい方にとっては、自分に合う仕事を見つけやすい可能性があります。将来的に専門性を高めたい方や、幅広い仕事に挑戦したい方にも向いている場合があります。
収入やキャリアアップを目指しやすい場合がある
一般枠では、会社の給与制度や評価制度に沿って、昇給や賞与、昇進の機会が設けられていることがあります。職種や雇用形態によっては、収入面での安定やキャリアアップを目指しやすい場合もあります。
ただし、給与水準は企業や職種、勤務時間、雇用形態によって大きく異なります。一般枠だから必ず高収入になるとは限らないため、求人票の条件や働き方をよく確認することが大切です。
精神障害のある方が一般枠で働く際の注意点
一般枠には魅力がある一方で、障害を伝えずに働く場合は注意したい点もあります。特に、体調の波がある方は、無理なく続けられるかを事前に考えておくことが重要です。
通院や体調不良について相談しにくい場合がある
障害や病気のことを会社に伝えていない場合、定期的な通院や体調不良について説明しにくいことがあります。平日の受診が必要な場合、有給休暇の取り方や勤務時間の調整に悩む方もいるでしょう。
また、体調が悪い日でも理由を伝えにくく、無理をして出勤してしまうことがあります。その結果、心身の負担が積み重なり、働き続けることが難しくなる可能性もあります。
一般枠を選ぶ場合でも、体調管理の方法や不調時の対応を事前に考えておくことが大切です。
周囲に事情が伝わらず、誤解されることがある
精神障害のことを伝えていない場合、上司や同僚は本人の体調の波や苦手な環境を把握できません。そのため、集中力が落ちているときや業務ペースが変わったときに、事情が伝わらず誤解されることがあります。
一人で抱え込む状態が続くと、職場で孤立したように感じたり、ストレスが大きくなったりすることもあります。無理を続ける前に、主治医や支援機関に相談しながら、働き方を見直すことも必要です。
精神障害のある方が障害者枠で働くメリット
障害者枠は、障害や体調のことを企業に伝えたうえで働く方法です。必要な配慮を相談しながら働けるため、安定した就労を目指したい方に合う場合があります。
必要な配慮を相談しやすい
障害者枠では、採用前後に障害特性や必要な配慮について話し合う機会があります。たとえば、次のような内容を相談できる場合があります。
- 通院日に合わせた休暇や勤務時間の調整
- 残業時間や業務量の調整
- 体調不良時の報告方法や相談先の確認
配慮の内容は、本人の希望だけでなく、企業側の業務体制や職場環境によっても変わります。そのため、必要な配慮を具体的に伝え、企業と話し合いながら決めていくことが大切です。
支援機関と連携しながら働ける場合がある
障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所などの支援機関を利用している場合、就職活動や職場定着のサポートを受けられることがあります。
自分だけでは伝えにくい悩みがあるとき、支援員が相談に乗ったり、必要に応じて職場との調整を支援したりする場合があります。職場で困ったことを早めに相談できる体制があると、長く働くための安心材料になります。
ただし、利用できる支援内容は、支援機関や本人の状況によって異なります。就職前に、どのような支援を受けられるのか確認しておくとよいでしょう。
精神障害のある方が障害者枠で働く際の注意点
障害者枠は配慮を相談しやすい一方で、求人内容や働き方に注意したい点もあります。メリットだけでなく、自分の希望と合うかどうかを確認することが大切です。
勤務時間や仕事内容によって収入が変わる
障害者枠では、体調への配慮として短時間勤務から始める求人や、業務範囲を調整する求人もあります。そのため、勤務時間や雇用形態によっては、収入が希望より低くなる場合があります。
ただし、すべての障害者枠の給与が低いわけではありません。専門職や経験を活かせる求人、フルタイム勤務の求人もあります。給与だけでなく、勤務時間、仕事内容、配慮の内容をあわせて確認することが大切です。
求人によっては業務の幅が限られることがある
障害者枠の求人では、本人が無理なく働けるよう、業務内容が明確に決められていることがあります。データ入力、書類整理、軽作業など、定型的な業務が中心の求人もあります。
一方で、近年は専門スキルを活かせる障害者雇用の求人も見られます。業務の幅を重視する場合は、求人票だけで判断せず、面接時に担当業務や将来的なキャリアの可能性を確認するとよいでしょう。
一般枠と障害者枠の主な違い
一般枠と障害者枠で迷う場合は、給与だけで判断するのではなく、配慮の相談のしやすさや、長く働けるかどうかを含めて考えることが大切です。
比較項目ごとの違い
- 応募方法:一般枠は通常の求人に応募します。障害者枠は障害があることを伝え、障害者雇用として応募することが一般的です。
- 配慮の相談:一般枠でも障害を伝えれば相談できる場合がありますが、障害を伝えていない場合は配慮につながりにくくなります。障害者枠では、必要な配慮を前提に話し合いやすい傾向があります。
- 仕事内容:一般枠は職種の幅が広い傾向があります。障害者枠は、求人によって業務内容が明確に決められている場合があります。
- 収入:どちらが高いとは一概にいえません。企業、職種、勤務時間、雇用形態によって異なります。
合理的配慮は障害者枠だけのものではない
雇用分野では、障害のある方が働くうえで支障となる事情がある場合、事業主は過重な負担にならない範囲で合理的配慮を行うことが求められています。
ただし、会社が障害や必要な配慮を把握していない場合、具体的な対応につながりにくいことがあります。そのため、配慮が必要な場合は、どの範囲で伝えるか、いつ伝えるかを慎重に考える必要があります。
不安がある場合は、主治医、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などに相談しながら進めると安心です。
精神障害のある方が働き方を選ぶ判断基準
一般枠と障害者枠のどちらを選ぶか迷ったときは、収入や求人の多さだけでなく、現在の体調や必要な配慮を基準に考えることが大切です。
現在の体調の安定度を確認する
まずは、直近数ヶ月の体調を振り返ってみましょう。朝起きる時間、活動できる時間、疲れやすさ、気分の波、通院頻度などを確認すると、自分に合う働き方を考えやすくなります。
たとえば、週5日決まった時間に活動できる状態が続いている場合は、一般枠や障害者枠での就職を検討しやすいかもしれません。一方で、日によって大きく体調が変わる場合や、通院・休養が必要な場合は、勤務時間や業務量を調整しやすい働き方を優先することが大切です。
自分だけで判断が難しい場合は、主治医や支援者に相談し、客観的な意見を聞いてみましょう。
長く続けられる働き方かを考える
就職活動では、採用されることだけでなく、働き続けられるかどうかも重要です。無理をして働き始めると、体調を崩して休職や退職につながる可能性があります。
収入を重視することも大切ですが、通院を続けられるか、休養を取れるか、困ったときに相談できるかも確認しましょう。長く働くためには、自分にとって無理のないペースを知ることが必要です。
必要な配慮を整理する
障害者枠を選ぶ場合も、一般枠で障害を伝える場合も、自分に必要な配慮を整理しておくと相談しやすくなります。
- 通院日の調整が必要か
- 残業や長時間勤務に不安があるか
- 苦手な環境や業務があるか
- 体調不良時にどのような対応が必要か
すべてを一度に伝える必要はありませんが、働くうえで大きな支障になりそうな点は、事前に整理しておくと安心です。
企業で働くことに不安がある場合の福祉的就労
一般枠や障害者枠で働くことにまだ不安がある場合は、就労継続支援A型や就労継続支援B型などの福祉的就労を検討する方法もあります。福祉的就労は、働く機会や生産活動の機会を通じて、本人の状態に合わせた就労を目指す障害福祉サービスです。
利用には自治体での手続きや支給決定が必要になるため、希望する場合は市区町村の窓口や相談支援事業所などに確認しましょう。
雇用契約を結んで働く就労継続支援A型
就労継続支援A型は、一般企業で働くことが難しいものの、雇用契約に基づいて働くことが可能な方に対して、就労の機会や生産活動の機会を提供するサービスです。
事業所と雇用契約を結ぶため、原則として労働関係法令が適用されます。仕事内容は事業所によって異なり、軽作業、データ入力、清掃、製造補助、パソコン作業などさまざまです。
一般企業で働くことに不安があるものの、一定の勤務時間で働く力をつけたい方にとって、段階的に就労経験を積む選択肢になる場合があります。
雇用契約を結ばずに通う就労継続支援B型
就労継続支援B型は、一般企業で働くことや雇用契約に基づく就労が難しい方に対して、就労の機会や生産活動の機会を提供するサービスです。
B型では雇用契約を結ばないため、給料ではなく工賃という形で報酬を受け取ります。作業内容や利用日数、利用時間は、本人の状態や自治体の支給決定、事業所の体制によって異なります。
体調の波が大きい方や、まずは生活リズムを整えながら社会参加を始めたい方にとって、無理のないペースを相談しやすい選択肢になる場合があります。
まとめ|精神障害のある方は体調と必要な配慮を基準に働き方を選ぼう
精神障害のある方が就職活動を進める際は、一般枠と障害者枠の違いを理解したうえで、自分の体調や希望に合う働き方を選ぶことが大切です。一般枠は求人の選択肢が広い一方で、障害を伝えていない場合は配慮を相談しにくいことがあります。障害者枠は必要な配慮を相談しやすい反面、求人によって仕事内容や勤務条件が異なります。
また、企業で働くことにまだ不安がある場合は、就労継続支援A型やB型などの福祉的就労を検討する方法もあります。どの働き方を選ぶ場合でも、無理をして決める必要はありません。主治医や支援機関に相談しながら、長く安心して働ける環境を少しずつ探していきましょう。
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