「親が亡くなったら、自分はどうやって生活していけばいいのだろう」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
無職やひきこもりの状態が続いていると、お金のこと、住まいのこと、手続きのことを一人で考えるだけでも大きな負担になります。特に、親の収入や年金に生活を支えられている場合、将来への不安はとても現実的な問題です。
この記事では、無職・ひきこもりの状態でも相談できる公的支援制度や、いきなり就職を目指す前に利用を検討できる居場所について解説します。
今すぐ完全な自立を目指す必要はありません。まずは、今の状態でも相談できる場所や、使える可能性のある制度を知ることから始めていきましょう。
親が亡くなった後が不安でも、今すぐ完全な自立を目指さなくていい
「親が亡くなったら生活できないかもしれない」と感じている方は少なくありません。親の年金や収入に頼って生活している場合、その不安は決して大げさなものではありません。
ただし、親が亡くなった後の生活をすべて一人で解決しようとする必要はありません。日本には、生活に困ったときに相談できる窓口や、収入・住まい・社会参加を支える制度があります。
この記事が伝えたいこと
この記事で一番伝えたいのは、「いきなり一人で生活を立て直そうとしなくていい」ということです。
親亡き後の生活を考えると、生活費、住まい、仕事、行政手続きなど、さまざまな不安が一度に出てきます。しかし、それらをすべて同時に解決する必要はありません。
まずは「自分の状態でも相談できる場所がある」と知ることが大切です。制度や支援先を知っておくことで、何から始めればよいかを少しずつ整理しやすくなります。
「何もできていない自分」を責めすぎなくていい理由
長くひきこもりや無職の状態が続くと、「自分はダメだ」「もう手遅れかもしれない」と感じてしまうことがあります。しかし、ひきこもりや無職の背景は一人ひとり異なります。
体調、人間関係、家庭環境、学校や職場での経験、精神的な不調など、複数の事情が重なっている場合もあります。そのため、本人の意志の弱さだけで判断することはできません。
令和4年度の「こども・若者の意識と生活に関する調査」では、広義のひきこもり状態にある人は、15〜39歳で約61万人、40〜64歳で約84万人、合計で約146万人と推計されています。ひきこもりは一部の人だけの問題ではなく、社会全体で支援を考える必要がある課題です。
大切なのは、今の自分を責め続けることではなく、今の状態で利用できる可能性のある支援を知ることです。
親が亡くなった後、無職・ひきこもりの生活はどう変わるのか
親が亡くなると、これまで当たり前だった生活の土台が大きく変わる場合があります。事前に何が変わるのかを知っておくと、必要な相談先を考えやすくなります。
親の年金に頼っていた場合、生活費の見直しが必要になる
親が年金を受け取っていた場合、亡くなった後もその年金を継続して生活費として受け取り続けることはできません。亡くなった月分までの未支給年金を遺族が請求できる場合はありますが、その後の生活費は別の方法で考える必要があります。
親の年金が家計の主な収入源だった場合、生活費が急に不安定になる可能性があります。そのときに考えられる相談先や制度には、次のようなものがあります。
- 生活保護の相談・申請
- 障害年金の相談・申請
- 生活困窮者自立支援制度の相談窓口
- 市区町村の福祉担当窓口
- 社会福祉協議会
いずれも、制度ごとに要件や確認事項があります。受け取れるかどうかを自分だけで判断せず、早めに相談窓口へ確認することが大切です。
実家に住み続ける場合も維持費がかかる
親が亡くなった後も実家に住み続ける場合、住まいに関する費用は発生します。持ち家か賃貸か、相続の状況、世帯の収入や資産によって必要な対応は変わります。
一般的には、電気・ガス・水道などの光熱費、通信費、火災保険料、固定資産税などがかかる場合があります。持ち家であっても、費用がまったくかからないわけではありません。
ただし、すべてを一人で判断する必要はありません。生活費や住まいの維持が難しい場合は、市区町村の福祉担当窓口、生活困窮者自立相談支援機関、社会福祉協議会などに相談できます。
手続きや行政対応を一人でこなすのが不安な場合も相談できる
親が亡くなった後は、死亡届、年金関係の手続き、保険、公共料金、相続、住まいに関する手続きなど、さまざまな対応が必要になります。
社会経験が少ない方や、長く外部との関わりが少なかった方にとって、こうした手続きは大きな負担になりやすいものです。
一人で進めるのが難しい場合は、市区町村の窓口や社会福祉協議会、生活困窮者自立相談支援機関などに相談できます。「何を相談すればいいかわからない」という段階でも、今の状況を伝えることから始めて問題ありません。
収入がない状態で相談できる公的支援制度
収入がない状態でも、相談できる公的な制度や窓口はあります。ただし、それぞれ対象や要件が異なるため、「必ず使える」と考えるのではなく、まず相談して確認することが大切です。
生活保護は生活に困ったときに相談できる制度
生活保護は、資産や能力、ほかの制度などを活用しても最低限度の生活を維持することが難しい場合に、生活を支えるための制度です。
生活保護は「働けない人だけ」が対象というわけではありません。働く意思があっても仕事に就けていない場合や、心身の状態によりすぐに働くことが難しい場合でも、世帯の収入や資産などを踏まえて保護の要否が判断されます。
申請できるかどうかを自分だけで決めつける必要はありません。生活費に困っている場合は、住んでいる地域の福祉事務所や市区町村の生活保護担当窓口に相談できます。
障害年金は精神疾患や発達障害でも対象になる場合がある
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事に支障が出ている場合に、要件を満たすことで受け取れる可能性がある制度です。身体の障害だけでなく、うつ病、統合失調症、発達障害などの精神疾患や発達特性に関連して対象になる場合もあります。
ただし、障害年金には主に次のような要件があります。
- 初診日の要件
- 保険料の納付要件
- 障害の程度に関する要件
特に初診日は重要で、障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日を確認する必要があります。また、一定期間の年金保険料を納めていること、または免除を受けていることなども確認されます。
「自分は対象外だ」と思っていても、実際には確認してみないとわからない場合があります。通院先の医師、年金事務所、市区町村の年金窓口、相談支援機関などに相談してみるとよいでしょう。
生活困窮者自立支援制度では生活全体の相談ができる
生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る前の段階を含め、生活に困りごとや不安を抱えている方が相談できる制度です。
相談窓口では、支援員が本人の状況を聞き取り、必要な支援を一緒に考えてくれます。相談できる内容は、収入、家計、仕事、住まい、社会参加など幅広い分野にわたります。
たとえば、家計改善支援、就労準備支援、住居確保給付金などにつながる場合があります。住居確保給付金は、離職などにより住まいを失った方や失うおそれがある方に対して、要件を満たす場合に一定期間、家賃相当額が支給される制度です。
制度によって収入や資産、求職活動などの要件があるため、詳しくは住んでいる地域の自立相談支援機関に確認しましょう。
無職・ひきこもりの状態から相談できる支援先
無職やひきこもりの状態が続いている場合でも、いきなり仕事を探す必要はありません。まずは、今の生活状況や不安を話せる相談先を見つけることが大切です。
相談支援事業所で相談できること
相談支援事業所は、障害のある方や福祉サービスの利用を検討している方が、自分に合った支援を受けられるように相談できる機関です。
主に、生活上の困りごと、福祉サービスの利用、就労支援、通所先の検討、支援計画の作成などについて相談できます。
ただし、障害福祉サービスを実際に利用するには、自治体への申請や障害福祉サービス受給者証などが必要になる場合があります。相談自体はできる場合でも、利用できるサービスや手続きは本人の状況や自治体によって異なります。
「自分が対象になるかわからない」という段階でも、まずは市区町村の障害福祉担当窓口に相談すると、適切な相談先を案内してもらいやすくなります。
地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談できること
地域包括支援センターは、主に高齢者の生活や介護に関する相談窓口です。親の介護、認知症、見守り、介護保険サービスについて不安がある場合に相談できます。
一方、社会福祉協議会は、地域の福祉に関する相談や支援を行う団体です。生活の困りごと、金銭管理、地域の福祉サービス、貸付制度、日常生活の支援などにつながる場合があります。
相談は無料でできることが多いですが、具体的なサービスを利用する場合は費用がかかる場合もあります。利用条件や費用は地域や支援内容によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
支援につながるために最初にできること
「相談したいけれど、何を話せばいいかわからない」という方も多いです。その場合は、うまく説明しようとしなくても大丈夫です。
たとえば、次のように伝えるだけでも相談の入口になります。
- 親が高齢で、将来の生活が不安です
- 自分は無職で、今後の生活費が心配です
- 長く外に出られておらず、何から始めればいいかわかりません
- 親が亡くなった後の手続きや住まいが不安です
直接出向くのが難しい場合は、電話やメール、問い合わせフォームから相談できる窓口もあります。本人が動くのが難しいときは、家族が代わりに相談できる場合もあります。
仕事の前にまず居場所を作るという考え方
長くひきこもりの状態が続いている場合、いきなり就職を目指すことが大きな負担になることがあります。そのような場合は、まず「仕事」ではなく「安心して通える場所」を見つけることから考えてもよいでしょう。
家以外の安心できる場所に少しずつ慣れていく
外に出ること自体が大きなストレスになっている場合、最初の目標を高くしすぎないことが大切です。
たとえば、週1回だけ外に出る、短時間だけ人のいる場所に行く、話さなくても過ごせる場所に行くなど、小さな目標から始める方法があります。
地域によっては、ひきこもり支援の居場所、地域活動支援センター、生活困窮者向けの就労準備支援、障害福祉サービスなど、段階的に社会参加を支える場所があります。
どの場所が合うかは本人の状態によって異なります。無理に通い続けることを目標にするのではなく、安心できる場所を少しずつ探していくことが大切です。
就労継続支援B型は自分のペースで社会参加を目指せる場合がある
就労継続支援B型は、一般企業で雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の機会を提供する障害福祉サービスです。
B型では、雇用契約を結ばずに、軽作業や創作活動、パソコン作業、農作業、清掃、販売補助など、事業所ごとの活動に参加する場合があります。
利用日数や利用時間、作業内容は、本人の状態や事業所、自治体の判断によって異なります。週に数日、短時間から利用できる事業所もありますが、すべての事業所で同じように利用できるわけではありません。
就労継続支援B型の利用を考える場合は、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所に相談し、自分の状態に合うかどうかを確認することが大切です。
工賃は金額だけでなく経験としての意味もある
就労継続支援B型では、生産活動に参加した場合、作業内容や事業所の収益などに応じて工賃が支払われます。工賃の金額は事業所や活動内容によって異なり、一般就労の賃金とは仕組みが異なります。
厚生労働省が示す令和5年度の就労継続支援B型の平均工賃月額は22,649円です。ただし、これは全国平均であり、個人ごとの工賃を保証するものではありません。
金額だけを見ると大きな収入にはなりにくい場合もありますが、「決まった場所に通う」「作業に参加する」「人と少し関わる」といった経験が、次の一歩につながることがあります。
最初から大きく稼ぐことを目標にするのではなく、自分のペースで社会参加の練習をする場所として考えると、利用のイメージがしやすくなります。
親が元気なうちに考えておきたいこと
親が元気なうちは、親亡き後の話をすることに抵抗を感じるかもしれません。しかし、親が元気なうちだからこそ、少しずつ相談先を作っておくことができます。
早めに相談先を作っておくことが将来の安心につながる
親が亡くなった後に初めて支援機関へ相談しようとすると、精神的にも手続き面でも負担が大きくなりやすいです。
一方で、親が元気なうちに一度でも相談窓口とつながっておけば、困ったときに連絡できる場所ができます。すぐに制度を利用しなくても、相談先を知っておくだけで選択肢を整理しやすくなります。
最初から大きな行動をする必要はありません。市区町村の福祉窓口に問い合わせる、社会福祉協議会に相談する、生活困窮者自立相談支援機関を調べるなど、小さな準備から始められます。
家族や兄弟が代わりに相談することもできる
本人が外に出られない、電話をかけられない、相談に強い不安があるという場合は、家族や兄弟が代わりに相談できる場合があります。
家族の立場から相談できる内容には、次のようなものがあります。
- 本人にどのように声をかければよいか
- 利用できる可能性のある支援制度は何か
- 親亡き後の生活について何を準備すればよいか
- 本人を支援機関につなぐにはどうすればよいか
ただし、制度の申請やサービス利用には本人の意思確認が必要になる場面もあります。家族だけで抱え込まず、支援機関に相談しながら、本人のペースを尊重して進めることが大切です。
まとめ|親が亡くなった後の不安は、一人で抱え込まなくていい
親が亡くなった後の生活への不安は、無職やひきこもりの状態にある方にとって、とても切実な問題です。お金、住まい、仕事、手続きのことを考えると、何から始めればよいかわからなくなることもあります。
しかし、今すぐ完全に自立しなければならないわけではありません。生活保護、障害年金、生活困窮者自立支援制度など、状況に応じて相談・申請を検討できる制度があります。相談支援事業所、社会福祉協議会、市区町村の福祉窓口など、生活の不安を話せる場所もあります。
また、すぐに働くことが難しい場合は、まず安心して通える居場所を探す方法もあります。就労継続支援B型など、本人の状態に合わせて社会参加を目指せる福祉サービスにつながる場合もあります。
大切なのは、今の自分を責めることではなく、今の状態で相談できる場所を一つ知ることです。本人が動くのが難しい場合は、家族が相談することも選択肢になります。
親が元気なうちに、まずは市区町村の福祉窓口や社会福祉協議会、生活困窮者自立相談支援機関など、身近な相談先を確認しておくとよいでしょう。小さな準備を重ねることが、将来の不安を整理するきっかけになります。
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