「うつ病で休職したものの、横になっているだけでよいのか不安」「何もできない自分に罪悪感がある」と悩んでいる方もいるでしょう。
うつ病で休職している間の過ごし方は、症状の程度や治療の経過によって異なります。休養が必要な時期に無理をして活動したり、反対に回復してきた段階でも生活を急に変えたりすると、心身の負担になることがあります。
この記事では、休職中の過ごし方を「休養を優先する段階」「少しずつ活動を再開する段階」「復職に向けて準備する段階」の3つに分けて解説します。この3段階は記事内で分かりやすく説明するための目安であり、医学上の統一された分類ではありません。実際の活動量や復職準備を始める時期は、主治医と相談して決めることが大切です。
死にたい気持ちが強い、自分を傷つけそう、食事や水分がほとんど取れない、症状が急激に悪化したといった場合は、主治医や医療機関、身近な人へ早めに連絡してください。緊急性が高い場合は、119番への連絡も検討してください。
うつ病で休職中に大切にしたい心構え
休むことを怠けだと考えない
休職直後は、仕事や家事ができない自分を責めてしまうことがあります。しかし、休養はうつ病の治療を支える大切な要素の一つです。
うつ病になると、気分の落ち込みだけでなく、意欲や集中力の低下、強い疲労感、不眠や過眠、食欲の変化などが現れることがあります。そのため、以前と同じように動けないことは、本人の努力不足や怠けとは限りません。
ただし、「何もせずに休めば必ず回復する」というわけではありません。うつ病の治療では、休養のほか、薬物療法、精神療法、生活面への支援などが行われる場合があります。服薬や通院を自己判断で中断せず、治療方針については主治医の指示を優先しましょう。
症状に応じて活動量を調整する
うつ病の回復には波があり、調子のよい日と悪い日を繰り返すこともあります。一時的に活動できたからといって、すぐに元の生活へ戻せるとは限りません。
休職中の過ごし方は、次の3段階を目安に考えると整理しやすくなります。
- 休養を優先する段階:心身の負担を減らし、通院や服薬を続けながら休む
- 活動を再開する段階:体調を確認しながら、身の回りのことや短時間の外出を始める
- 復職準備の段階:勤務を想定した生活リズムや活動時間へ段階的に近づける
自分がどの段階にいるかを一人で判断するのが難しい場合は、睡眠、食事、気分、活動内容などを記録し、受診時に主治医へ伝える方法があります。
うつ病で休職中の時期別の過ごし方
休養を優先する段階は心身の負担を減らす
休職した直後や症状が強い時期は、仕事から離れ、心身の負担を減らすことが優先されます。
家事や外出が難しい場合は、できる範囲にとどめて構いません。家族などに頼れる場合は、食事の準備や買い物、行政手続きなどを手伝ってもらうことも選択肢です。
睡眠時間が長くなったり、起きる時間が乱れたりすることもあります。ただし、昼夜逆転や不眠、過眠が長く続く場合は、うつ病の症状や薬の影響なども考えられます。自己判断で生活を急に変えようとせず、主治医へ現在の状態を伝えましょう。
この時期は、次のような基本的なことを優先します。
- 医師の指示に沿って通院や服薬を続ける
- 食事や水分を取れる範囲で確保する
- 仕事に関する連絡や情報を見る時間を減らす
- 家事や予定を必要最小限にする
- 症状の大きな変化を主治医に伝える
活動を再開する段階は小さな行動から始める
症状が少し落ち着き、主治医からも活動を増やしてよいと助言された場合は、負担の少ない行動から始めます。
例えば、次のような内容が考えられます。
- 朝にカーテンを開ける
- 決まった時間帯に食事を取る
- 着替えや洗顔をする
- 家の周りを数分歩く
- 短時間だけ家事や読書をする
毎日同じ内容をこなす必要はありません。活動した翌日に強い疲れが残る場合や、気分の落ち込みが強くなる場合は、活動量が多すぎる可能性があります。
「昨日できたから今日も行わなければならない」と考えず、その日の状態に合わせて休むことも大切です。
復職準備の段階は勤務を想定した生活に近づける
日常生活がある程度安定してきたら、主治医や職場と相談しながら復職に向けた準備を始めます。
家で過ごせることと、決まった時間に通勤して仕事を続けられることは同じではありません。復職の可否は、自宅での様子だけでなく、起床時間、外出できる時間、集中力、疲労の残り方、通勤の負担なども含めて判断する必要があります。
復職準備として、次のような練習が行われることがあります。
- 勤務日と同じ時間帯に起きる
- 通勤時間帯に短時間の外出をする
- 図書館などで一定時間過ごす
- 読書やパソコン作業を短時間行う
- 活動後の疲労や気分を記録する
勤務時間や業務内容を段階的に戻す制度があるかどうかは、勤務先の就業規則によって異なります。人事労務担当者、上司、産業医などと相談し、復職後の働き方も含めて調整しましょう。
休職中の生活リズムを整える方法
生活リズムは、一度に元へ戻そうとすると負担になることがあります。症状が強い時期は休養を優先し、回復してきた段階で少しずつ調整することが大切です。
起床時間を少しずつ安定させる
生活リズムを整える際は、就寝時間だけでなく、起床時間を意識する方法があります。
ただし、ほとんど眠れていない日に無理に早起きを続けると、体調を崩す可能性があります。最初から出勤時と同じ時間を目指すのではなく、現在の起床時間から少しずつ調整しましょう。
眠れない状態や日中の強い眠気が続く場合は、睡眠の記録を主治医に見せると相談しやすくなります。
朝から日中に明るい光を取り入れる
朝から日中に光を浴びることは、体内時計を調整し、睡眠と覚醒のリズムを整える助けになります。
朝起きたらカーテンを開け、窓際で過ごすことから始めてみましょう。外出できる状態であれば、体調に合わせて短時間だけ外へ出る方法もあります。
光を浴びれば必ず気分や睡眠が改善するわけではありません。まぶしさがつらい場合や、季節・住環境によって十分な光を取り入れにくい場合は、無理をする必要はありません。
体調に合わせて軽い活動を取り入れる
主治医から運動を止められておらず、体調が安定している場合は、散歩やストレッチなどの軽い活動が気分転換になることがあります。
最初は家の周りを数分歩く、玄関先まで出るなど、負担の少ない範囲から始めましょう。距離や時間を増やすことよりも、翌日に強い疲れを残さないことが重要です。
めまい、動悸、強い息切れ、痛みなどがある場合は活動を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
就寝前のスマートフォンとの付き合い方を見直す
夜間の強い光や、SNS・動画などによる刺激は、寝つきに影響することがあります。
可能であれば、就寝前は画面の明るさを下げ、スマートフォンを寝床から離れた場所に置いてみましょう。就寝前の1時間程度を、音楽、読書、軽いストレッチなど、落ち着いて過ごせる時間にする方法もあります。
眠れないまま長時間寝床にいることが負担になる場合は、暗く静かな場所で過ごし、眠気が出てから寝床へ戻る方法について主治医へ相談してもよいでしょう。
休職中の過ごし方を支える外部機関
一人で生活リズムや復職準備を整えることが難しい場合は、医療機関や就労支援機関を利用できることがあります。対象者や利用条件、費用、プログラム内容は機関ごとに異なります。
リワークプログラム
リワークとは、うつ病などの精神疾患によって休職している人を対象に、職場復帰を支援するプログラムです。
医療機関、地域障害者職業センター、障害福祉サービス事業所、勤務先などで実施される場合があります。内容は実施機関によって異なりますが、次のようなプログラムがあります。
- 決まった時間に通う練習
- パソコン作業や事務作業
- 病気や再発予防についての学習
- ストレスへの対処方法の整理
- コミュニケーションの練習
- 復職後の働き方の検討
参加すれば必ず復職できるわけではありません。参加の適否や開始時期について、主治医や勤務先の担当者と相談しましょう。
精神科デイケア
精神科デイケアは、医療機関などへ通いながら、生活リズムの安定や社会生活への参加を目指す治療・リハビリテーションの一つです。
運動、創作活動、心理教育、グループワークなどが行われることがあります。復職支援に特化したプログラムを設けている医療機関もありますが、すべての精神科デイケアが復職を目的としているわけではありません。
利用できるプログラムや通所回数、費用は医療機関によって異なるため、主治医や医療機関の相談窓口へ確認してください。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、一般企業で働くことや雇用契約に基づいて継続的に働くことが難しい障がいのある方に、就労や生産活動の機会を提供する障害福祉サービスです。利用者と事業所は雇用契約を結ばず、生産活動などに応じて工賃が支払われます。
休職中の方が復職支援を目的として一時的に利用できる場合もあります。ただし、次のような条件を満たし、市区町村から支給決定を受ける必要があります。
- 勤務先や医療機関などによる復職支援の利用が難しい
- 本人が復職を希望している
- 勤務先と主治医が利用を適当と判断している
- 就労系障害福祉サービスの利用が復職につながると市区町村が判断している
休職中であれば誰でも利用できるわけではなく、週1日や短時間から必ず利用できるとも限りません。利用日数、時間、作業内容、工賃などは、本人の状態、市区町村の支給決定、事業所の運営方針によって異なります。
利用を検討する場合は、主治医、市区町村の障害福祉担当窓口、相談支援事業所、勤務先などへ確認しましょう。
うつ病で休職中に避けたい行動
体調が不安定な時期に大きな決断を急ぐ
うつ病の症状が強い時期は、物事を悲観的に捉えたり、自分を強く責めたりすることがあります。そのため、退職や転職などの大きな決断は、可能であれば体調が安定するまで保留することが勧められます。
ただし、ハラスメントや安全上の問題などにより、早急な対応が必要な場合もあります。一人で判断せず、家族、主治医、勤務先の相談窓口、労働局など、状況に応じた相談先を利用してください。
生活リズムを一気に変えようとする
昼夜逆転を長期間そのままにすると、復職に向けて生活を調整する際の負担になることがあります。一方で、眠れない状態のまま無理に早起きを続けることも適切とは限りません。
睡眠や起床時間は、症状の段階に合わせて少しずつ調整しましょう。強い不眠や過眠が続く場合は、生活習慣だけで解決しようとせず、主治医へ相談することが大切です。
寝酒や自己判断での服薬に頼る
アルコールを飲むと一時的に寝つきやすく感じることがありますが、夜中に目が覚めやすくなるなど、睡眠の質を低下させる可能性があります。
また、治療薬とアルコールを一緒に摂取すると、眠気、ふらつきなどの副作用が強くなる場合があります。影響は薬の種類によって異なるため、飲酒については主治医や薬剤師へ確認してください。
眠れない場合でも、薬を増減したり、市販薬を追加したりしないようにしましょう。睡眠の問題が続く場合は、現在の症状を主治医へ伝え、必要な対応を相談してください。
休職中に確認したい経済的な支援制度
休職が長引くと、収入や医療費への不安が大きくなることがあります。利用できる制度は、加入している健康保険、所得、雇用状況などによって異なります。
傷病手当金
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがによって仕事に就けず、給与を受けられない場合などに支給される制度です。
主な支給条件は次のとおりです。
- 業務外の病気やけがの療養である
- 仕事に就くことができない状態である
- 連続する3日間を含め、4日以上仕事を休んでいる
- 休んだ期間について給与が支払われていない、または給与が傷病手当金より少ない
支給期間は、支給を開始した日から通算して最長1年6か月です。
1日当たりの支給額は、原則として支給開始日前の標準報酬月額の平均を30日で割り、その3分の2に相当する額を基に計算されます。実際の手取り給与の3分の2がそのまま支給される制度ではありません。
給与の支払いがある場合や、ほかの給付を受けている場合は、支給額が調整されることがあります。申請書には、勤務先や医師などによる証明が必要です。加入している健康保険の窓口や勤務先の労務担当者へ確認しましょう。
自立支援医療制度
自立支援医療の精神通院医療は、精神疾患により継続的な通院治療が必要な方の医療費負担を軽減する制度です。
制度が適用されると、対象となる通院医療の自己負担は原則1割となります。所得や症状などに応じて、1か月当たりの自己負担上限額が設定される場合もあります。
ただし、制度の対象となるのは、指定された医療機関、薬局、訪問看護事業所などで受ける、対象疾患に関係する通院医療です。入院費や、精神疾患と関係のない治療費などは原則として対象になりません。
申請窓口や必要書類は自治体によって異なる場合があります。通院先の相談窓口、主治医、市区町村の障害福祉担当窓口などへ確認してください。
まとめ|主治医と相談しながら自分に合ったペースで過ごそう
うつ病で休職している間は、仕事や家事ができないことに罪悪感を抱く場合があります。しかし、症状が強い時期に休養することは、治療を進めるうえで大切な過程の一つです。
まずは通院や服薬を続け、心身の負担を減らしましょう。症状が落ち着いてきたら、起床、食事、着替え、短時間の外出など、負担の少ない行動から少しずつ再開します。
復職準備を始める時期は、自分だけで判断せず、主治医、勤務先、産業医などと相談することが重要です。必要に応じて、リワーク、精神科デイケア、条件を満たす場合の就労系障害福祉サービスなども検討できます。
傷病手当金や自立支援医療制度についても、利用条件を確認することで経済的な負担を軽減できる場合があります。焦って以前の生活へ戻そうとせず、その時点の体調に合った過ごし方を主治医と一緒に考えていきましょう。
福岡市博多区の 就労継続支援A型・B型事業所 「パラスポ」のご案内
当事業所では、「無理のない通所」を第一に考え、 一人ひとりの体調や目標に合わせたサポートを行っています。
- ✓ 海が見えるリラックスできるロケーション
- ✓ 社会復帰からの一般就労をしっかりサポート
- ✓ 通所も安心の「送迎あり」(※B型利用者のみ)
- ✓ 美味しい「昼食提供あり」(※条件あり)
選べる作業内容
- AIを使用したWEBコンテンツ制作
- PCデータ入力
- リラクゼーションセラピスト
- 和菓子などの販売、接客業務
- 食器洗浄などの軽作業
- PCデータ入力
- 室内で座って行える軽作業
「自分に合っているか不安…」という方も、まずは事業所の雰囲気を見学してみませんか?
ご家族や支援機関の方と同伴での見学・体験も大歓迎です。
〒812-0021
福岡市博多区築港本町13-6
ベイサイドプレイス博多C館3F
Mail:paraspoism002@gmail.com


コメント