障害者雇用で受からない・疲れたときに知りたい原因と別の道筋

就労支援について

障害者雇用で応募を続けても受からず、「疲れた」「もう限界かもしれない」と感じていませんか。不採用が続くと、自分の能力や人柄まで否定されたように感じてしまうことがあります。

しかし、不採用の理由は本人だけで決まるものではありません。求人の条件、職場環境、企業側が用意できる配慮、通勤や勤務時間との相性など、さまざまな要素が関係します。

この記事では、障害者雇用で受からないと感じる背景や、就職活動に疲れたときに考えたい選択肢、就労移行支援などの支援機関について解説します。

  1. 障害者雇用で受からない・疲れたと感じる背景
    1. 不採用は本人の価値を決めるものではない
    2. 採用されない理由には企業側の事情も関係する
    3. 疲弊するのは意志が弱いからではない
  2. 就職活動を一度立ち止まる選択肢
    1. 休むことは諦めではない
    2. 消耗のサインを確認する
    3. 就職の前に「働ける状態」を整える考え方
  3. 障害者雇用で疲れたときの別の道筋:就労移行支援とは
    1. 就労移行支援の基本
    2. 就労移行支援以外の相談先
    3. 就労移行支援が向いているケース
    4. 就労移行支援が合わない場合もある
  4. 就労移行支援が別の道筋になる理由
    1. 通所実績を作れる場合がある
    2. 強みや配慮事項を整理しやすくなる
    3. 応募書類や面接準備を相談できる
    4. 就職後の相談につながる場合がある
  5. よくある誤解と確認しておきたいこと
    1. 「就労移行支援に通えば必ず就職できる」は誤り
    2. 年齢が気になる場合も確認してよい
    3. 障害者枠だけが選択肢とは限らない
  6. FAQ
    1. Q1. 就労移行支援は障害者手帳がないと使えませんか?
    2. Q2. 就労移行支援に通っている間、収入はありますか?
    3. Q3. 毎日通えるか不安でも相談できますか?
    4. Q4. ハローワークの障害者専門窓口と就労移行支援は何が違いますか?
  7. まとめ
  8. 参考資料
    1. 福岡市博多区の 就労継続支援A型・B型事業所 「パラスポ」のご案内
      1. 選べる作業内容

障害者雇用で受からない・疲れたと感じる背景

不採用は本人の価値を決めるものではない

障害者雇用の求人では、本人の経験やスキルだけでなく、職場環境や業務内容、企業側が用意できる配慮との相性も重視されます。そのため、不採用が続いたとしても、それだけで本人の価値や働く力が否定されたとはいえません。

民間企業の法定雇用率は現在2.5%で、2026年7月からは2.7%へ引き上げられる予定です。対象となる事業主の範囲も、40.0人以上から37.5人以上へ広がる予定です。

厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」では、民間企業における雇用障害者数は70万4,610.0人となり、過去最高を更新しています。一方で、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%にとどまっています。

障害者雇用は広がっている一方で、すべての企業で十分な受け入れ体制が整っているとは限りません。そのため、就職活動がうまく進まない背景には、企業側の状況や求人との相性が関係している場合もあります。

採用されない理由には企業側の事情も関係する

不採用の理由は企業から詳しく説明されないことが多く、応募者側には分かりにくいものです。一般的には、次のような要素が関係する場合があります。

要因 考えられる内容
職場環境との相性 業務内容、勤務時間、職場の音や人間関係、必要な配慮の範囲などが合わない場合があります。
通勤や体調面への不安 企業側が、長く安定して働けるかを重視する場合があります。ただし、これは本人の努力だけで判断できるものではありません。
書類や面接での伝え方 強み、できること、必要な配慮、働き方の希望が十分に伝わっていない場合があります。

これらは、本人の能力や人格だけで決まるものではありません。企業の受け入れ体制や求人の条件との相性によって、結果が変わることもあります。

疲弊するのは意志が弱いからではない

就職活動の疲れには、応募書類の作成や面接準備による疲れだけでなく、「手応えがないこと」による消耗もあります。

何社も応募しても結果が出ない、理由が分からないまま不採用が続く、次に何を直せばよいか分からない。このような状態が続くと、行動する気力が落ちてしまうことがあります。

これは意志の弱さではなく、誰にでも起こり得る自然な反応です。疲れが強いときは、応募数を増やすことだけを考えるのではなく、就職活動の進め方を見直すことも大切です。

就職活動を一度立ち止まる選択肢

休むことは諦めではない

「就職活動を止めると負けたように感じる」という方もいるかもしれません。しかし、強い疲労感や不安を抱えたまま応募を続けると、自己否定が強くなり、就職活動そのものがつらくなることがあります。

一度立ち止まることは、就職を諦めることではありません。体調や生活リズムを整え、応募書類や面接での伝え方を見直すための準備期間と考えることもできます。

消耗のサインを確認する

次のような状態が続いている場合は、就職活動のペースを見直すことも検討しましょう。

  • 応募書類を開くのがつらく、後回しにする日が増えている
  • 不採用通知を受け取ると、数日間何も手につかなくなる
  • 何社応募すればよいのか分からなくなっている
  • 自分に向いている仕事が分からなくなっている
  • 就職活動のことを誰にも話せなくなっている
  • 眠れない、食欲が落ちる、気分の落ち込みが長く続いている

心身の不調が強い場合や、生活に支障が出ている場合は、主治医や医療機関、相談支援事業所、市区町村の福祉窓口などに相談することも大切です。

就職の前に「働ける状態」を整える考え方

障害者雇用で受からない状態が続くと、「まず採用されなければ何も始まらない」と感じやすくなります。しかし、就職の前に生活リズム、通所の習慣、作業の集中力、配慮事項の整理などを整える方法もあります。

その選択肢のひとつが、就労移行支援です。就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある方が、働くために必要な準備を行う障害福祉サービスです。

障害者雇用で疲れたときの別の道筋:就労移行支援とは

就労移行支援の基本

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。就労を希望する障害のある方に対して、就労に必要な知識や能力を身につける訓練、求職活動の支援、職場開拓、就職後の定着に関する相談などを行います。

  • 対象者:原則として、一般就労を希望する65歳未満の障害のある方
  • 利用期間:標準利用期間は24か月です。必要性が認められる場合、自治体の判断により更新できる場合があります。
  • 費用:所得に応じた自己負担が発生する場合があります。実際の負担額は世帯収入や自治体の判断によって異なります。
  • 主な内容:生活リズムの整備、職業訓練、職場体験、応募書類の作成、面接練習、就職後の相談など
  • 利用手続き:市区町村で障害福祉サービスの支給決定を受ける必要があります。

就労移行支援は、就職活動をすべて代わりに行ってくれる場所ではありません。本人の希望や状態に合わせて、就職に向けた準備を支援する場所です。

就労移行支援以外の相談先

障害者雇用で悩んでいるときは、就労移行支援だけでなく、複数の支援機関を組み合わせることもできます。

支援機関 主な役割 向いているケース
就労移行支援事業所 就職に向けた訓練、生活リズムの整備、応募準備、定着に関する相談など 就職活動の前に土台づくりをしたい方
ハローワークの障害者専門窓口 求人紹介、職業相談、応募先との調整など 求人を探したい方、応募先を相談したい方
地域障害者職業センター 職業評価、職場適応支援、復職支援など 自分に合う働き方や職場適応について相談したい方
相談支援事業所・市区町村窓口 障害福祉サービスの利用相談、サービス等利用計画の相談など どの支援を使えばよいか分からない方

就労移行支援が向いているケース

就労移行支援は、次のような方に合う場合があります。

  • 就職活動の進め方が分からない
  • 自分の強みや苦手なことを整理できていない
  • 必要な配慮をどう伝えればよいか分からない
  • 生活リズムや通勤に不安がある
  • 就職後も相談できる環境がほしい
  • 一人で応募を続けることに限界を感じている

就労移行支援が合わない場合もある

一方で、就労移行支援がすべての人に合うとは限りません。次のような場合は、別の支援機関や働き方を検討した方がよいこともあります。

  • すでに内定先が決まっている
  • すぐに収入を得る必要がある
  • 特定の資格取得やスキル習得だけが目的である
  • 一般就労ではなく、就労継続支援A型・B型などを検討したい
  • 体調面から、まず医療や生活支援を優先した方がよい

どの支援が合うかは、本人の体調、生活状況、希望する働き方によって異なります。利用を検討する際は、市区町村の福祉窓口や相談支援事業所、主治医などに確認しましょう。

就労移行支援が別の道筋になる理由

通所実績を作れる場合がある

就労移行支援に通うことで、一定の時間に通所する経験を積める場合があります。これは、生活リズムや通勤への不安を確認する機会にもなります。

採用面接では、「週にどのくらい通えるか」「どの時間帯なら安定しやすいか」といった情報が役立つことがあります。通所実績があると、自分の働き方を具体的に説明しやすくなる場合があります。

強みや配慮事項を整理しやすくなる

障害者雇用の応募では、できること、苦手なこと、必要な配慮を分かりやすく伝えることが大切です。しかし、一人で整理するのは難しい場合があります。

就労移行支援では、作業や面談を通じて、自分に合う作業内容、集中しやすい環境、疲れやすい場面などを確認できます。その結果、応募書類や面接で伝える内容を整理しやすくなることがあります。

応募書類や面接準備を相談できる

履歴書や職務経歴書では、ブランク期間、障害の伝え方、配慮事項の書き方に悩む方も少なくありません。就労移行支援では、支援員に相談しながら応募書類や面接の準備を進められる場合があります。

自分だけで抱え込まず、第三者の視点を入れることで、伝え方のズレに気づきやすくなります。

就職後の相談につながる場合がある

就職はゴールではなく、働き続けるためのスタートでもあります。就労移行支援では、就職後の職場定着に関する相談を受けられる場合があります。

ただし、支援内容や期間、定着支援の方法は事業所によって異なります。利用前に、就職後のフォロー体制について確認しておくと安心です。

よくある誤解と確認しておきたいこと

「就労移行支援に通えば必ず就職できる」は誤り

就労移行支援は、就職を保証するサービスではありません。支援内容、得意分野、就職実績、通所のしやすさ、スタッフとの相性は事業所によって異なります。

利用を検討する際は、複数の事業所を見学し、次の点を確認しましょう。

  • どのような訓練プログラムがあるか
  • 精神障害、発達障害、身体障害など、自分の状況に合う支援経験があるか
  • 就職実績や職場定着の支援内容はどうか
  • 週何日から通えるか
  • スタッフに相談しやすい雰囲気か
  • 交通手段や通所時間に無理がないか

年齢が気になる場合も確認してよい

就労移行支援は、原則として一般就労を希望する65歳未満の障害のある方が対象です。ただし、細かな要件や利用可否は個別の状況によって異なる場合があります。

30代・40代だから遅いと決めつける必要はありません。年齢だけで判断せず、希望する働き方や体調、職歴、必要な支援を整理したうえで相談してみましょう。

障害者枠だけが選択肢とは限らない

就職の方法には、障害者雇用の求人に応募する方法だけでなく、一般求人に応募して合理的配慮を相談する方法や、障害を開示せずに働くクローズ就労という選択肢もあります。

どの働き方が合うかは、体調、必要な配慮、職場に伝えたい内容、収入面、働く時間などによって異なります。自分だけで決めるのが難しい場合は、支援機関と一緒に整理すると考えやすくなります。

FAQ

Q1. 就労移行支援は障害者手帳がないと使えませんか?

障害者手帳がない場合でも、医師の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などをもとに利用を相談できる場合があります。ただし、最終的には市区町村による障害福祉サービスの支給決定が必要です。

自治体によって必要書類や判断が異なる場合があるため、最寄りの市区町村窓口や相談支援事業所に確認しましょう。

Q2. 就労移行支援に通っている間、収入はありますか?

就労移行支援は、一般就労に向けた訓練や支援を行う障害福祉サービスです。就労継続支援A型やB型とは異なり、原則として給与や工賃を得る場所ではありません。

通所中の生活費は、障害年金、生活保護、家族の支援、貯蓄など、個別の状況によって異なります。費用や生活面に不安がある場合は、事業所や相談支援事業所、市区町村窓口に相談しましょう。

Q3. 毎日通えるか不安でも相談できますか?

毎日通うことに不安がある場合でも、相談できる場合があります。事業所によっては、週数日から始める、短時間から慣らすなど、段階的な通所を提案しているところもあります。

ただし、利用条件や通所日数の考え方は事業所や自治体、本人の状況によって異なります。見学や体験の際に、現在の体調や不安を正直に伝えて確認しましょう。

Q4. ハローワークの障害者専門窓口と就労移行支援は何が違いますか?

ハローワークの障害者専門窓口は、求人紹介や職業相談、応募先との調整などを行う公的な相談窓口です。

就労移行支援は、就職に向けた訓練、生活リズムの整備、応募準備、職場実習、就職後の相談などを行う障害福祉サービスです。

どちらか一方だけを使う必要はなく、状況によって併用できる場合もあります。

まとめ

障害者雇用で受からない状態が続くと、自分を責めてしまいやすくなります。しかし、不採用の背景には、求人条件、職場環境、企業側の受け入れ体制、配慮事項との相性など、本人だけでは変えられない要素も関係します。

疲れが強いときは、無理に応募を続けるのではなく、一度立ち止まって就職活動の進め方を見直すことも大切です。就労移行支援、ハローワークの障害者専門窓口、地域障害者職業センター、相談支援事業所など、利用できる支援機関は複数あります。

まずは、自宅近くの相談先を調べる、気になる就労移行支援事業所を見学する、市区町村の福祉窓口に相談するなど、負担の少ない一歩から始めてみましょう。制度や利用条件は自治体や本人の状況によって異なるため、最新情報は公的機関や支援機関で確認することが大切です。

参考資料

  • 厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」
  • 厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」
  • 厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
  • 厚生労働省「障害福祉サービス等の概要」
  • 厚生労働省「就労移行支援」関連資料
  • 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)関連資料

本記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。障害者雇用や障害福祉サービスに関する制度、数値、法令は改正・更新される場合があります。個別の利用可否や手続きについては、ハローワーク、市区町村の福祉窓口、相談支援事業所、就労移行支援事業所などの専門機関にご確認ください。

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