「また怒られるかもしれないと思うと、職場に行くのがつらい」「上司の表情や声が少し変わるだけで緊張してしまう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
仕事で怒られることへの恐怖は、過去の経験、現在の職場環境、仕事に対する考え方など、さまざまな要因が重なって強くなることがあります。怖いと感じるからといって、心が弱いと決めつける必要はありません。
この記事では、仕事で怒られるのが怖いと感じる主な原因、恐怖を和らげるための対処法、心理的安全性のある職場を選ぶポイントを解説します。あわせて、障害や病気などにより一般企業で働くことが難しい方が利用を検討できる、就労系障害福祉サービスについても紹介します。
仕事で怒られるのが怖いと感じる主な原因4つ
怒られることへの恐怖が強くなる背景は、人によって異なります。ここでは、考えられる主な原因を4つ紹介します。
1.過去に強く叱責された経験がある
以前の職場で繰り返し怒鳴られたり、人前で厳しく責められたりした経験があると、似た場面で強い不安を感じることがあります。
家庭や学校などで強く叱られた経験が影響している場合もあります。ただし、過去の経験と現在の反応との関係は人によって異なるため、本人だけで原因を断定する必要はありません。
少し注意されただけでも過去の出来事を思い出す場合は、「今の出来事」と「過去の経験」が重なっていないかを整理してみることが役立つことがあります。
2.仕事への指摘を人格の否定と受け取ってしまう
上司から仕事の進め方を指摘されたときに、「自分は仕事ができない」「自分には価値がない」と感じてしまうことがあります。
業務上の指摘が、資料の書き方や作業手順などに向けられたものであれば、自分自身の人格とは分けて考えることが大切です。
一方で、侮辱する、脅す、人前で繰り返し大声で責めるなどの行為まで、本人の受け止め方の問題として我慢する必要はありません。業務上必要な指導と、人格を傷つける言動は分けて考えましょう。
3.相手の表情や声の変化に敏感になっている
怒られることへの不安が強いと、相手の険しい表情や声の大きさに敏感になり、「自分に怒っているのではないか」と考えてしまうことがあります。
しかし、相手の表情が険しい理由が、自分に関係しているとは限りません。忙しさ、体調、別の仕事への対応など、さまざまな可能性があります。
不安を感じたときは、「実際に言われたこと」と「自分が想像したこと」を分けて整理すると、必要以上に悪い方向へ考えることを防ぎやすくなります。
4.ミスをしてはいけないという思いが強い
「一度でも間違えたら評価を失う」「完璧にできなければ怒られる」という考えが強いと、小さなミスでも深刻に受け止めやすくなります。
仕事では、確認不足や認識の違いなどにより、誰にでもミスが起こる可能性があります。大切なのは、ミスを完全になくすことだけではなく、早めに報告し、原因や再発防止策を確認することです。
完璧を目指して一人で抱え込むよりも、途中で確認する習慣をつけるほうが、結果的に大きなミスを防ぎやすくなります。
怒られることへの恐怖が仕事に与える影響
怒られることへの不安が強いと、仕事の進め方や心身の状態に影響が出ることがあります。
緊張して本来の力を発揮しにくくなる
「間違えたら怒られる」と考え続けていると、会議で意見を言えない、新しい仕事に取り組めない、確認に時間がかかりすぎるといった状態になることがあります。
強い緊張が続くことで、集中しにくくなったり、普段なら気づける点を見落としたりする場合もあります。
報告・連絡・相談を避けてしまう
上司や先輩の反応が怖いと、わからないことを質問できず、ミスや問題を報告するのが遅くなることがあります。
報告が遅れると、小さな問題が大きくなり、さらに相談しにくくなるという悪循環につながる場合があります。
口頭での相談が難しいときは、メールやチャットを使う、相談内容をメモにまとめる、「現状・困っていること・確認したいこと」の順番で伝えるなど、自分が報告しやすい方法を試してみましょう。
心身の不調につながることがある
職場にいる間ずっと緊張していると、疲れが取れない、眠れない、食欲が落ちる、仕事のことを考えると動悸がするといった変化が現れることがあります。
こうした状態が続いている場合は、無理に一人で解決しようとせず、医療機関、社内の相談窓口、産業医、保健師などへの相談を検討してください。症状だけで病名を自己判断せず、必要に応じて専門家の判断を受けることが大切です。
業務上の指導と問題のある叱責を分けて考える
仕事では、ミスや改善点について指摘を受けることがあります。ただし、どのような伝え方でも許されるわけではありません。
業務上の適切な指導では、次のような点が意識されています。
- 問題となった行動や作業内容が具体的に示される
- 指摘する理由や改善方法が説明される
- 必要以上に大声を出したり、侮辱したりしない
- 人前で繰り返し恥をかかせるような対応をしない
- 質問や確認ができる余地がある
一方で、人格を否定する言葉、脅迫的な言動、ひどい暴言、人前で繰り返し大声で責める行為などは、状況によってパワーハラスメントに該当する可能性があります。
問題のある言動が続いている場合は、日時、場所、言われた内容、その場にいた人などを記録しておくと、相談時に状況を説明しやすくなります。社内の相談窓口や労働組合に加え、各都道府県労働局などに設置されている総合労働相談コーナーへ相談する方法もあります。
仕事で怒られることへの恐怖を和らげる対処法
事実と自分の解釈を分けて整理する
不安を感じた場面では、次の内容を書き出してみましょう。
- 実際に相手から言われたこと
- 指摘された作業や行動
- 自分がその場で考えたこと
- 次に確認すべきこと
たとえば、「上司が短い返事をした」という事実と、「自分に怒っているに違いない」という解釈を分けます。事実と解釈を整理することで、不安が少し落ち着く場合があります。
指示や確認事項を見える形にする
口頭での指示を受けると緊張して内容を忘れてしまう場合は、メモを取り、最後に内容を確認してみましょう。
「期限は金曜日で、提出前に一度確認していただくという理解で合っていますか」と確認すれば、認識の違いを防ぎやすくなります。
可能であれば、メール、チャット、チェックリスト、作業手順書などを活用することも有効です。
一人で抱え込まず相談先を確保する
上司本人には相談しにくい場合、別の上司、人事担当者、社内相談窓口、産業医、保健師などに相談できることがあります。
身近な人に相談するときは、気持ちだけでなく、「いつ、どこで、何を言われたか」「仕事にどのような影響が出ているか」も伝えると、状況を共有しやすくなります。
休養や受診が必要な状態を見逃さない
休日にも仕事のことが頭から離れない、眠れない状態が続く、食事が取れない、職場に近づくと強い身体症状が出るといった場合は、気力だけで乗り切ろうとしないことが大切です。
まずはかかりつけ医や精神科、心療内科などに相談し、働き方や休養について専門家の意見を確認してください。緊急性がある場合や、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、速やかに医療機関や緊急の相談窓口を利用してください。
心理的安全性のある職場とは
心理的安全性とは、チームの中で質問する、助けを求める、ミスを報告する、異なる意見を伝えるといった行動を取っても、拒絶されたり、恥をかかされたりしないと感じられる状態です。
心理的安全性があることは、注意や指摘を一切受けないことや、どのようなミスも認められることを意味しません。問題が起きたときに、一方的に責めるのではなく、原因や改善策を話し合えることが重要です。
心理的安全性のある職場を選ぶポイント
ミスが起きたときの対応を確認する
面接や職場見学では、「作業上のミスが起きた場合、どのように対応していますか」と質問してみましょう。
原因を一緒に確認する、手順書を見直す、質問できる担当者を決めるなど、具体的な回答がある職場は、改善の仕組みを整えている可能性があります。
質問や相談をしやすい仕組みがあるかを見る
困ったときの相談相手が決まっているか、定期面談があるか、口頭以外の相談方法があるかを確認します。
相談窓口が用意されていても、実際には利用しにくい場合があります。見学時には、職員同士の話し方や、質問した人への対応も確認しましょう。
仕事内容と指示の出し方を確認する
仕事の内容だけでなく、指示が口頭中心なのか、手順書やチェックリストがあるのか、急な変更が多いのかも確認しておきましょう。
自分が苦手とする状況を事前に整理しておくと、職場との相性を判断しやすくなります。
給与や職種を含めて総合的に判断する
安心して相談できる環境は重要ですが、給与、勤務時間、通勤方法、仕事内容、生活との両立も大切な条件です。
特定の条件だけを最優先にするのではなく、自分が無理なく続けるために必要な条件を整理し、優先順位を決めて職場を選びましょう。
障害や病気がある方は就労系障害福祉サービスも選択肢になる
障害や病気などにより、一般企業で働くことや雇用契約に基づいて継続的に働くことが難しい場合は、就労系障害福祉サービスの利用を検討できることがあります。
ただし、「仕事で怒られるのが怖い」という気持ちだけで利用が決まるわけではありません。本人の障害や疾病の状況、就労状況、支援の必要性などを踏まえ、市区町村が支給決定を行います。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、一般企業などでの就労が難しいものの、支援を受けながら雇用契約に基づいて継続的に働くことが可能な方を主な対象とするサービスです。
事業所と雇用契約を結ぶため、労働関係法令が適用され、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます。勤務時間、出勤日、欠勤時の取り扱いなどは、雇用契約や就業規則によって異なります。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、一般企業などでの就労や、雇用契約に基づいて継続的に働くことが難しい方に、就労や生産活動の機会を提供するサービスです。
事業所との雇用契約は結ばず、生産活動によって得られた収入などから工賃が支払われます。利用日数、利用時間、作業内容、工賃の金額は、本人の状況や事業所によって異なります。
就労継続支援でも事業所ごとの違いを確認する
就労継続支援には支援スタッフが配置されていますが、すべての事業所で同じ支援を受けられるわけではありません。また、仕事や生産活動を行うため、作業上の目標、期限、品質確認、業務上のフィードバックが設けられる場合があります。
見学や相談の際には、次の点を確認しましょう。
- ミスが起きたときの対応方法
- 困ったときに相談できる担当者
- 利用日数や勤務時間
- 欠席や体調不良時の連絡方法
- 指示の出し方や作業手順
- 賃金または工賃の仕組み
- 一般就労を希望する場合の支援内容
障害者手帳の有無だけで利用の可否が決まるわけではありません。必要な書類や手続きは本人の状況や自治体によって異なるため、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所に確認してください。
まとめ|怒られることへの恐怖を一人で抱え込まず働く環境を見直そう
仕事で怒られるのが怖いと感じる背景には、過去に強く叱責された経験、仕事への指摘と人格を結びつけてしまう考え方、相手の反応への敏感さ、ミスを許せない気持ちなどが関係している場合があります。
ただし、怒鳴る、脅す、侮辱する、人前で繰り返し責めるといった行為まで、自分の考え方だけで受け入れる必要はありません。問題のある言動が続く場合は、社内外の相談窓口を利用しましょう。
安心して働くためには、単に「怒られない職場」を探すのではなく、質問や相談、ミスの報告がしやすく、問題が起きたときに改善方法を話し合える職場かどうかを確認することが大切です。
心身の不調が続いている場合は医療機関へ相談し、障害や病気などにより一般企業で働くことが難しい場合は、市区町村の窓口などで就労系障害福祉サービスについて相談してみましょう。自分だけで抱え込まず、現在の状態に合った支援や働き方を選ぶことが大切です。
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